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映画『首』北野武 監督の感想(ネタバレあり)

 

 

 

11月23日、北野武監督・映画『首』が公開になりました。

映画『首』を観た感想をまとめました。

 

前売り券と席の予約方法

ムビチケにて、前売り券を購入しておきました。

前売り券で買うと500円安くなり大人は1,500円でお得に映画が鑑賞できます。

 

便利なことに、映画館で発券が不要!

QRコードを表示したスマホの画面を入口でかざすだけなので、手間が省けます。

チケットの手配が完了し、忘れずに映画館の座席も予約しておきます。

当日は良い席は埋まってしまう可能性が高く、当日遅刻してバタバタする可能性もあるため、できる予約は全てしておくのが安心です。

前方のブロックの席が残っているか映画館のホームページから席の予約状況を確認し、今回はTOHOシネマズ日比谷で鑑賞することにしました。

 

いざ、11月23日、公開初日!

朝9:45〜の上映にも関わらず、お客さんは、ざっと8割は入っていました。

女性よりも男性が多く、20代から、上は60、70代くらいまで、幅広い年齢層のお客さんがいました。

 

 

北野武監督・映画『首』の感想

率直に、面白かった!!

驚きの中に、

「こんな戦国時代もあったかも」と思うようなリアリティがありました。

この映画のキーワードを単語で表すなら・・・

「男色」「血」「狂ってる」でしょうか。

織田信長(=加瀬亮)、信長に謀反を起こした荒木村重(=遠藤憲一、のちに謀反を起こすことになる明智光秀(=西島秀俊)の三角関係が描かれています。

まさかの男同士の愛。

そして「首」(信じられるもの)への執着心が血生臭く描かれていました。

その三角関係を見抜き外から様子を伺う立場の策略家である羽柴秀吉(=ビートたけし)が言った侍の "惚れた腫れた" は難しいというセリフ。

それを聞き、私は「なるほど!」と思いました。

はい?どういうこと?

となる方もいるかもしれません。

 

 

 

一般的に、主君と家臣の関係性は、

主君に武将としての力を認められ、戦の大将を任せてもらえる→戦に勝ち、褒美をもらう&昇進するという流れのはずですが、

「惚れた腫れた」「男色」とはどういうこと??

一見理解し難いと思うかもしれませんが、この『首』という映画を観れば、

もしかしたら戦国時代、織田信長の周辺ではあり得る話かも!?

そんな風に思える面白さがありました。

『首』公式クリアファイル

 

公式サイトはこちらです。

映画『首』公式サイト

映画『首』公式サイトより

男色の考察

映画『首』で描かれている「男色」

どういうことなのか、考えてみました。

1つは、主君への忠誠心が半端ない戦国時代で「忠誠心」=「愛」。

忠誠心が強いからこそ、相手に裏切られたときのショックは大きく、愛が「憎しみ」に変わり、謀反を起こし、国が変わっていくまでに発展することは、自然な流れです。

しかも、渦中の人物にとって「忠誠」や「恩」=「命を捧げること」。

命を捧げるほど大事に思っている相手と関係を持つことは、もはや同性でもあり得る話!?とも考えられます。

加えて、相手を焚き付けたり裏切ったりして振り回し、それに対して相手も我慢ならずに謀反を起こしていた、という風に考えれば「惚れた腫れた」というイメージはつきやすいですよね。

 

もう1つは、明智光秀など一部の家臣たちが”魔人”信長の不気味なカリスマ性に魅せられている(惚れている)説です。(※あくまでこの映画の中の設定です。)

500年経ってもなお語り継がれるような、ヤバい時代の天下人でありスター・信長は”魔人”と呼ばれるほど「狂っていた」説があります。

確かに「天下を獲ろう」なんていう人間が常人・凡庸であるはずがありません。

というか、そもそも人間の首を切ったり、自害すること自体狂っています。

そんな”魔人”信長に対して忠誠を誓いう家臣の中には「自分こそ認められたい」という気持ちがあったはず。

そして「狂っている」人間への強烈な憧れと共に「好きだ」という感情があったのかもしれません。

ただし、その信長が”魔人”ではなくなった瞬間は、無慈悲なものです。

明智光秀(=西島秀俊)が「(信長も)所詮人の子だったか!」というセリフもあったように、なんだ!ちくしょうめ!という感じ。

裏切られた時の失望感とともに、夢から覚めたあとの、一気にどうでもよくなる感・・・。

そんなことを考えつつ「男色説、あったかもなあ」と思ったのでした。

 

映画『首』公式サイトより

 

 

キャラクター・あらすじ

 

信長の元家臣・荒木村重(=遠藤憲一は、感情的ですぐ熱くなる口だけキャラ。

危なっかしくてそそっかしい感じが本当にハマり役。(『ドクターX』の海老名のイメージ) 劇中、何度も「悔しい!」という台詞があったのですが、村重の性格・心情をシンプルに言い表していました。 「悔しい」というのは「素直」な性格ゆえですが、それが仇になりました。 村重は信長に背いて殺されるところを命拾いしたにも関わらず、元恋仲の明智光秀(=西島秀俊に愛想尽かされてしまい、最終的には崖からポイされてしまいました・・・。

 

冷酷な肉体派キャラがピッタリだったのは、明智光秀(=西島秀俊。(『MOZU』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』のイメージ)

信長には「ハゲ!」と罵られ、殴られ、蹴飛ばされ、虐げられるが、天下人である信長に惚れています。信長に召し抱えられている森蘭丸(=寛一郎)と信長の男色行為を複雑な面持ちで側で待つなど、冷静さを保ちながらも困難に耐える(Mの一面)かと思えば、練習台で生きている下人に火縄銃を次々と撃ったり、元恋仲の村重を崖からポイするという、なんとも言えない冷酷さ(Sの一面)も持ち合わせています。

そして何と言っても、光秀の最期「狂っている」死に様は、息を呑みました。

 

天下人としてまさに「狂っている」男が実際は「こんな人物だったかもしれない」という現実味があったのは、織田信長(=加瀬亮)。小柄で色白のビジュアルに、インテリヤクザ(『アウトレイジ』のイメージ)な部分と、腕っ節が強く荒々しく傲慢で、子供っぽい無邪気さの中にある狂気性加瀬亮が演じているからなのか、やっていることはメチャクチャなのに、品の良ささえ感じられ、そして、誰よりも色気がありました。最後の方は人間らしい弱さも垣間見えます。普段の信長は独特の話し方(抑揚?)があり、余計キチガイ感があって、この人には話通じないわ(泣)と思いました。

 

策略家で頭の切れる男、通称「サル羽柴秀吉(=ビートたけしは、言わずもがなのハマり役でした。劇中で「俺はしらねえ、農民だから。」と、武家出身じゃないから武人同士のいざこざなんて知ったこっちゃねえ、と開き直るシーンがありますが、まさにその「開き直り」が秀吉の強みであり、「狂っている」部分です。身分の低さを逆手に取り、違う角度から天下を虎視眈々と狙っています。家康に対しては、へりくだりながらも手中に納め、一方で家臣に対しては雑に扱い・また扱われるという滑稽さが最高でした。羽柴秀長(=大森南朋黒田官兵衛(=浅野忠信の2人とのいざこざのやりとりは、一瞬、たけし軍団に見えたような気も・・・!(笑)

映画のラストシーンで、秀吉が「光秀が死んだっていう証明ができればいいんだ!」と怒鳴るシーンは、秀吉の信じられるもの=光秀の「首」という位置付けがはっきりしていたので、映画の後味としても、スッキリしました。

 

  • その他のキャストも豪華!

そんな中、誰よりも察する力があり、危機回避のため先回りして動く、通称「タヌキ」こと徳川家康(=小林薫も、ザ・タヌキジジイでした。大企業の幹部とか大物政治家にいそうな風格で面白かったです。

織田信長はいつでも家康の「首」を掻っ切ることはできたはずなのに、そうできなかった「理由」があったのでしょうか・・・。のちに天下人となる徳川家康の「地味に強い力」をひしひしと感じました。

 

難波茂助(=中村獅童は元百姓から侍大将へ成り上がる男。安直な性格で、えげつない男。家族を亡くしてもすぐに切り替えたり、「首」に取り憑かれ、仲間も関係なく首を切りまくる姿がまさにサイコパス。笑顔で馬鹿っぽい感じがなんとも言えない気持ちになりました。見たくないものを見る時の感じに似ていて、現実を突きつけられいる感じがしました。

 

物語のキーパーソン的には、曽呂利新左衛門(=木村祐一でしょうか。

まさかの芸人役でした。「どうせお前、死ぬけどな」と秀吉(=ビートたけし)に言われ、一瞬ぐっと怯む表情がなんとも言えなかったです。

口が立つ=頭が良いので、うまくいけば、千利休のように武力がなくても高い地位まで上り詰めることができた人物だったと思います。サイコパスな行動が目立つ茂助(=中村獅童)にツッコミを入れてくれるので、視聴者としてはありがたい存在でした。

 

また、裏で暗躍する千利休(=岸辺一徳も恐ろしいキャラでした。

特にこの作品では「茶人」と「坊主」が腹黒く描かれていて、まさしく”関西の腹黒商人”。戦国時代、茶室は社交の場・密談の場としても機能していたため、武将が茶室でしくじる=失脚するということになりかねないそうです。

それを裏で仕切っていた千利休は、ただの茶人ではないです・・・。

そして、すごかったのは、観世家の「能」の演目のシーン!

本能寺の変の夜、信長の前で披露されるシーン。絵面的にもそうですが、有無を言わさない空気感に圧倒されました。能には、謎の魅力がありますね。「波打ち際〜」というフレーズだけ聞き取れましたが、なんて言っているのかとても気になるので演目を調べて、いつか生で見てみたいです。

 

映画館・上映スケジュール

映画『首』、とても面白いので、ぜひ、映画館で見てみてください。

全国の映画館の検索・上映スケジュールについては、こちらが便利です。

上映スケジュール